非リア充な私が拾った少女が天使だったんだが。



「…え?」

なにをいっている。

天使が居候するってことか?


「…な、なんで?」

「本来、私が仕事をするときは選ばれし人の家にいさせてもらう事になっているのです」

天使がそう話し出す。

「まぁほんの少しの迷惑をおかけはしますが、基本一日一個飴玉でもなんでももらえれば大丈夫な体なのでたいていのみなさんは心優しくいさせてくれます」

リア充になるためにですけどね、と天使が笑う。


「…それが、なんであたしっちに?」

だって今、選ばれし人になるべき人もいるはずでしょ。

非リア充はきっとこの世にまだまだたくさんいる。

「一人の選ばれし人との約束は、3か月間たつと終わります」

「はぁ」

「ちょうどおととい、ある人の約束の3か月が終わったんです。…やっと」

「やっと?」

そう聞き返すと、天使は悲しそうな顔で続けた。


「…正直、餓死寸前でした。まぁ、生存しているわけではないですけど」

…餓死。

「え、でも飴玉一つでいいんでしょ?低燃費なんでしょ?」

「その飴玉一つさえくれない人でした」


どくん、と心臓がゆれた。

つまりあたしたちの生活にたとえたら、




朝ごはんも、昼のお弁当も、夕飯も、なにもなくて。

ただひたすらに、苦しんでいるだけ。



「…辛っ」

口から出たのはそんな言葉だった。