「ただいまー…」

家に帰ると、なぜだか誰もいなかった。


父は仕事。

母は久しぶりの友達と出かけると言っていた。

だから二人がいないのは解る。


でも真澄と真咲は何故いない!?

何故、この状況でいない!?




見知らぬ少女をお姫様だっこするあたしと、誰もいない家というのは、あまりに非現実的すぎた。



ぽかーん、としていると、携帯がブブブブ…と震えた。



とりあえず少女をソファに寝かせ、携帯をチェックする。


真澄と真咲からそれぞれ一件。



『友達とご飯行くから遅くなる』

『今、友達っちでゲームやってます。ちょっと熱中しちゃって、帰れなくなりそうかなぁ(><)早めには帰ります。ごめんね。』


ぶっきらぼうな真澄のメールと、どこぞの彼氏か母親宛か!!と思わせるような真咲のメール。

真咲に彼氏とか、ありえないけど…、うわっ、ありそうで怖いわ。



「ふぅっ」と息をついて、携帯を閉じる。

まだまだガラケーで悪かったな。


静かな空間だった。

その中に突然、かわいらしい声が響いた。


「……んっと…あっ!?」

聞きなれない声がして、思わずびくっとする。

そしてその声がした方向を見てみると…。




さっきの少女が目を覚ましていた。

わなわなと、こっちを見つめていた。