「じゃぁねっ、真弓」
「じゃね、京」
ばいばーい、と大きく手を振る京に、あたしも小さく手を振り返した。
あたしと京の家の方向は、駅を出たら逆方向。
帰るのは一緒だけど、行くのは一人。
そういえば、京の家行ったことないな。
…城を化していそうだ…。
そんなことや、好きな漫画、アニメの事を考えながら家への道を進んでいた。
家の並ぶ道から、細い路地を通る。
近道だ。
いつものように、進むはずだった。
いつものように、家へ帰るはずだった。
だけどあたしはふと、目に捉えてしまった。
「…………お、女の子?」
彼女とあたしの出会いが、
後にあたしの運命を大きく変えることに
誰もまだ、気づいていなかった。