「そんでね、真弓~。昨日借りたお姫様の映画、す~っごい面白かったんだぁっ!真弓も見る?」
「いや、別にあたしは興味ないからいいよ」
「そっかぁ~、残念っ」
いつものような会話を繰り返しながら屋上へ向かう。
屋上は人がいない。
京じゃないけど、結構青春エンジョイ系のやつには人気だと思うんだけどなぁ。
まぁ、普通はきれいで快適な食堂の方を選ぶんだろう。
脳内で自己完結をさせて、歩き進める。
「ねぇコウ~、」
そんな甘ったるい女の声が聞こえてきたのは、屋上の扉のドアノブに手をかけたときだ。
「こっ、恋人…さんかな?」
京がオドオドとした声で耳元で囁く。
「きょぉ、家いっていい?」
「ん~?アヤナだったら別にいいよ」
「んもぉ、コウ大好きぃ~っ!」
「俺も、アヤナ大好きだよ」
そんな砂糖吐きそうなほどの甘ったるい会話の後、ちゅっ、というリップ音が聞こえた。
イラッ
まぁなんという不純異性交遊。
はぜてくれればいいのにな。