「……で、朝日。」


「はい…………。」


「ちょっと第一会議室に来なさい。」


「はい……。」


職員室の奥にある会議室に連れていかれる。

「そこ座って。」


椅子に座ると私の白紙の調査書が差し出される。


「朝日……。
将来について何も浮かばないのか?」


こーゆーとき。
啓太は先生モード。


「…………。」


「朝日?」


「ゆ、夢って言えるのか……わからなくて……。」


「ん?」


「バドミントン続けたい気持ちもあります。……でもその気持ちもなんかピンときてなくて……」


「……朝日。……勉強できるから何でも目指せると思うよ?」


「………………。」


「やりたいことホントはあるんだろ?」


ドキッ……

お母さんが死んだとき……
お母さんを自分が助けられたらって本気で思った。

だからきっと

わたしは…………。


「なりたいものがあんだろ?挑戦してみたいことが。」


私は静かに頷いた。


「だったら、それに向かって頑張りなさい。朝日なら、なれるよ。」


「せ、先生……。」


「医者になったらおれが具合悪くなったら看てな?笑」


なんでなんだろうね。
なんでいつも
私のことを私以上にわかってるんだろう。


「進路調査はわかるとこだけでいいから書いて?大学とかはまだいいから。」


「はい。」


「まぁ、個人的には卒業したら……け」


「ん?」


「いや、まぁいい。じゃ、そーゆーことで!」


「はい。」


そう言って会議室を出る。

現実を見なければいけないんだ。

もう、受験生なんだもんね。