「名前で呼べ」 「伊沢愁」 「お前、なめてんの?」 ぎゅっと抱きしめられてるせいで伊沢愁の吐息がかかる。 「そんなの、どうでもいいから離し……」 「愁」 「は?」 「愁って呼べ」 身体をゆっくりと離してわたしをその吸い込まれそうな焦げ茶色の瞳でじっと見つめてくる。