バスに揺られて30分。 「あ、つぎ降りる」 教えてくれない愁に、ぷくぅっと頬を膨らましていたとき、ふいに愁が言葉を発した。 「ん~!なんか、海の香りがするね」 やっとついて、なんだか少しご機嫌になったわたし。 ちょっとだけだけどね! 伸びながらそんなことを言ったわたしに、 愁が、「正解」と言って、笑った。 ドキンっと心臓が跳ねる。 やっぱり、付き合っても愁の笑顔には慣れないの。