そして、背中を向けて走りだす。 それと同時に、チャランと何かが落ちた。 キラリと光る――。 「落としてんじゃねぇよ……。」 ハートのネックレスを拾い上げて、しゃがんだまま俺は、自分の髪をくしゃっと掴んだ。 本気で好きで、本気で欲しいのに。 「くそ……っ」 ネックレスを強く握りしめて、俺は梨加の走っていった廊下を見つめた。