そんな彼女に、にこっと偽りの笑顔を向ける。 「愁くんから、残ってって言われたのなんて初めてだったから、嬉しい!」 頬を赤らめて座っていたイスから立ち上がる伊藤。 「急にごめんね」 申し訳なさそうにそう言って、伊藤がいる窓ぎわのほうへと足を進める。 そんな俺を見て、ブンブンと首を振った伊藤は。 「本当に嬉しい……わたし、」 近づいた俺の腕に触れてきた。