「もう、ほんとにびっくりしたわよ〜!
愁に抱きかかえられてる梨加ちゃん、全身びしょ濡れなんだもの」
ほんと、びっくりしたわ。
と微笑む伊沢先生に、「すみません…。」と
謝る。
「なにはともあれ、愁が助けに行ったみたいだから、よかった」
「あ、あの…。愁は?」
保健室を見渡しても愁の姿はどこにもない。
愁に早くお礼言いたいのに…。
俯きがちに、自分にかかっている毛布をぎゅっと掴む。
そんなわたしを見て、くすっと笑った伊沢先生は、
「そんな不安そうな顔しないで?
愁なら、なんか教室に用があるってついさっき出て行っちゃったのよ。
行けそうだったら、会いに行ってみれば?」
とまるでわたしの心を見透かしてるかのように
言葉をかけてきた。
やっぱり、姉弟だ。
感が鋭いところがそっくり。
「梨加ちゃんがわかりやすいのよ」
ふふっ。と笑った伊沢先生は、やっぱり本当に感が鋭いみたい。