「さ、寒い……。」
びしょびしょの髪の毛と制服。
凍えるような寒さのなか、ぼーっとする頭で
考える。
このまま誰も助けに来てくれなかったら、どうしよう…。
今日の朝、体育館部活は休みって運動部の子たちが騒いでいたのを思い出す。
そしたら、出れるのは明日ってこと?
やだよ…。
今日、愁に告白する。って。
気持ち伝えるって決めたのに。
そんなことを思いながら、引っ込んだ涙がまた出そうになる。
でも、愁はきっと助けにきてくれる。
階段でわたしが落ちたときも、デートのときにナンパ男に連れて行かれそうになったときも。
愁は、必ず助けにきてくれた。
だから、絶対に……。
「梨加……っ!!」
外から、聞き慣れた声が聞こえて、わたしは閉じていた目をあけた。
それと同時に、ガチャガチャと鍵が開けられる音がする。