「俺に惚れない自信、ないんだー」
「なっ……!」
「やらないってことは負けると思ってるからだろ?」
余裕そうに。
わたしをその焦げ茶色の瞳で見つめて、彼は
そうだろ?と首をかしげる。
こんなやつに惚れるなんてありえない。
「……やる」
「なに?」
「うけてたってやるわ……ぁっ」
まんまとこの男の罠に引っかかってしまった。
負けず嫌いな性格、うらむ…!
そんなわたしを見て緩やかに口角をあげる
伊沢愁。
でも、今さらやらないなんて言えなくて…。
「絶対に好きになんてならないから!」
かわりにそう叫んだ。
でも、わたしはあんたになんて絶対に惚れない。