『ばーか』




口パクでそう言って、背を向けた。



ぼわっと熱くなる頬。



何あれ何あれ……!

俯いて、熱くなった頬を隠す。





「藍村さん!」



そんなわたしの耳に入った突然の叫び声。



「えっ?」



俯いていた顔をぱっとあげ、その音源のほうへと顔を向かせる。



そこには、わたしに駆け寄ってくる伊藤さんと吉野さんの姿があった。




「え、ど、どうしたの?」


また、愁のことで何か言われるんではないか。
と不安になりながらも、息を切らしている2人に問いかける。