｢早くしてよ佑樹｣




駆け寄った佑樹くんに王子様口調でそう言って笑う。



でも、目が全く笑ってない。

わたしと同じくそれに気づいたらしい佑樹くんが少し、びくっと震えた。



それにくすっと笑ってしまう。



そして、教室を出ようと背を向けた愁。


その背中をぼんやりと見つめていると、愁がいきなり止まってこちらに振り返った。




｢…！｣


案の定、ぱちっと目が合う。


まさか振り向くとは思わなくて、びっくりしてしまった。




そんなわたしを見て、くすっと笑ったあと。