トンッとひんやりとした感覚が背中につく。



「あーあ、もう逃げられないね」


ダンッとわたしの顔の隣に伊沢愁の腕がおかれて。


その拍子に、持っていた学級日誌がバンッと床に落ちる。



わたしの後ろには壁、前には嫌味なくらい整った顔。



――完璧に挟まれた…っ



「離れてよ…!」


「無理」


彼の胸をぐっ、と押してみてもびくともしなくて逆にパシッと腕を掴まれて壁に押し付けられてしまった。