四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


誰がどう見てもイケメンの部類に入る彼ならば、もっと可愛く綺麗な女の子だって手に入れらるだろうに。

そんな気持ちから、さっきの呟きが漏れたんだ。


「そんなことないよ。俺は最高の女だと思ってる」


朝倉くんは至って真面目な顔でそんなことを言う。


今度は照れから顔が赤くなった。

どう反応していいかわからない。


「でも、触れられないのは誤算だったな…。なあ、なんで蕁麻疹出るのか、聞いてもいい?」

「嫌」


あたしは即答した。

その理由を話そうと思ったら、蕁麻疹の原因となったあの男のことも話さなきゃいけない。


「思い出したくないの」


自分に言い聞かせるように呟いた。