四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


「長野くんと言い、朝倉くんと言い、イケメンも大変なのねぇ。

でも、あたし、確かに長野くんとろくに話したことなかったけど、長野くんが友達と話す姿なんかを見て、ちゃんと内面も含めて好きになってたつもりだったんだよ。

そりゃ、暴言聞いた時は、全然性格を理解できてなかったんだって思ったけど」


「悪かった。ま、幸せにな」


長野くんはあたしの肩をたたくと、友達の元へ戻っていった。

その姿を見送っていると、隣で朝倉くんがポツリと呟いた。


「蕁麻疹、出ないのか?」

「え?」


あたしは自分の手や腕を見ながら、首や肩も触る。


痒くない。

一番嫌悪していた人に肩を叩かれたのに、なんともないことに気付いた。


「もしかして、治った…かも?」


長野くんの発言で傷ついてトラウマになっていたけど、彼が思ったよりひどい人ではなかったかもしれないとわかって、イケメンへの嫌悪感がなくなったんだろうか…。

我ながら単純すぎる。


「…じゃあさ。触れてもいい?」