四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


どういう意味かわからなかった。


だって、あたしは長野くんの本質なんて見れてなかった。顔しか見てなかった。

こんなあたしに、朝倉くんに好きになってもらう資格なんてない。


そう思った時、「鮎川?」とどこかから呼ばれて、あたしはそちらを見た。

呼んだのは朝倉くんではなくて、そばに立つ男だ。


男を見上げ、息をのんだ。


どうして、ここに…。

そこにいたのは、あたしの蕁麻疹の元となったあの男、長野篤志(ながの あつし)だった。


「長野くん、なんで…」

「友達と花見だよ。今、俺だけコンビニに行ってきて」


長野くんは右手に持ったコンビニ袋を掲げて見せた。


向こうの方に少し騒がしい男女がいるので、あのグループが長野くんの友だちだろうか。


「それにしても…」

長野くんがニヤリと笑うと、ジロジロとあたしと朝倉くんの顔を見た。


「おまえ、相変わらず顔で男を選んでるのか?」

「なっ…」