四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


「今年は暖かくなったと思ったらまた寒くなったりしてるから、桜、長いよね。いつもならすぐに散っちゃうのに」

「そうだな、なんかこんなに桜見れるなんてお得だよね」


そう笑った朝倉くんの顔が本当に綺麗で、思わず見惚れた。

これだけ綺麗な顔していたら、そりゃ女装も似合うよね。

さっきの朝倉くんの姿を思い出す。


そして、ふと胸によぎったことを言葉にしていた。


「もしかして朝倉くんって、その顔がコンプレックスなの?」

「ああ…わかる?」

「うん、なんとなくだけど…」


朝倉くんははあっと息をはいた。


「正直、睫が女の子みたいに長いとか、女みたいに綺麗な顔とか言われても嬉しくない。女装が似合う顔よりも、もっと男らしい顔が良かったな」

「でも、ちょっと待って」

「ん?」


あたしは隣に座る朝倉くんの方の顔を見つめた。


「それで、なんであたしなの?顔がコンプレックスだったら、顔とか上辺じゃなくて、ちゃんと朝倉くんの本質を見てくれる人がいいんじゃないの?」

「だからだよ」

「え?」