四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


「あれ、向こうにあるのって桜?」

「ああ、あそこは公園だな」


遠くに桜の木々が見え、あたしは小走りで木の下まで行った。


「うわあ、綺麗!」

自然と口元が緩む。


木々には、白や薄ピンクの、こぼれんばかりの花であふれていた。


「桜好きなの?」

「うん、すごい綺麗じゃない!?」


あたしは後ろに立つ朝倉くんを見上げた。

その近さにドキンとなる。


悟られないように、前を向いて喋り続けた。


「今しか見れないってのがいいよね」

「せっかくだから向こうのベンチに座って、花見していこうか」

「うん」


彼が先に行き、その距離にホッとした。


あたし達は木の下を通って、少し先にあるベンチに腰かけた。

ベンチの真後ろにも桜があって、桜を独り占め、いや、正確には二人占めの気分だ。