四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


「とにかく、事情説明するからリビングに案内して」

と朝倉くんの後ろからもう一人女性が下りてきて言った。


え、この人も朝倉くんのお姉さん?


下りてきたのはセミロングの女性で、たぶん20代。

女装した朝倉くんが大人になったらこんな感じかなと思う人だった。


「初めまして、朝倉澪(みお)よ」

「あたしは幸(さち)です」


セミロングの女性に続き、ボブの女性も挨拶してくれた。

あたしも慌てて頭を下げて名乗り、幸さんに促されてリビングへと向かった。



向かいには澪さん、幸さん。

隣には朝倉くんでソファに座った。


澪さんの出してくれた紅茶とクッキーが前のテーブルにある。


朝倉くんを横目で盗み見ると、彼はソファの肘掛に肘を立てて、皆から顔をそむけてあたしの反対方向を見ている。

その目は座っていて、なんか、朝倉くんは怒ってる…?