四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


お姉さん、かな…?

笑った顔が朝倉くんによく似ている。


「お邪魔しま…」

靴を脱いで、お姉さんの出してくれたスリッパを履いた時、「いい加減にしろっ!!」と大声が響いて、2階からドタドタと誰かが下りてきた。


さっきの声は朝倉くん?と思いながら階段を見上げると、可愛い女の子と目があった。


何やら怒っているのか、いかり肩にがに股っぽい足でどこか残念な美少女だ。

その彼女が、大きな瞳をさらに大きく見開いている。


残念ではあるけど、茶色の髪の毛は綺麗に巻いているし、

顔も元々綺麗なんだろうけど、化粧も綺麗にしていて、身だしなみの点では女らしさは彼女の方が上だ。


あたしも一応デートってことでオシャレには気をつかってきたきたつもりだけど。

可愛いと思うワンピースを着て、デニムのジャケットを羽織って、春物のショートブーツを履いていても、

所詮顔の化粧はへたくそだし、元の素材は彼女ほど良くないし、仕方ない。


そんなことを思っていたら、彼女があたしを指さして叫んだ。


「な…なんで鮎川がここにいるんだよー!!!」