四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


振られるとわかっていたとはいえ、あたしにとって勇気を振り絞った告白だった。

それをそんな風に他の人に明かして、笑いのネタにしていることがショックだった。


でも、何よりも、そんな最低な男だと見抜けずに好きでいた自分が許せなかった。


あたしはあの時のことで一つ学んだ。


顔のいい男が性格もいいとは限らない。

傲慢で、性格が最低な人もいること。


そして、そんな本質を隠していい人のふりをできる人がいるということに、恐怖を感じた。


これから、あたしは人の何を信用して生きていけばいいのだろうか、と。

あたしに笑顔を向ける人でも、心の中ではあたしのことを嫌っているのかもしれない、と。


それからだ。

顔の整っている人が特に怖くて、拒否反応を感じて、触れられると蕁麻疹が出るようになった。


それでも、朝倉くんを怖いと思ったことはなかったし、

一年間学級委員を一緒にしていて、顔がいいと性格が悪いなんて決めつけで、彼のことを信用できると感じていた。


彼はどちらかと言うと不器用なところがあって、裏表の顔を作れる人には思えなかったんだ。



あたしは鳴らない携帯を見つめた。