四月の魚 〜溺れる恋心〜【短編】


この告白は、3月の終業式の後、柚子が言いだしたことだった。


「ねえ、蕁麻疹治したくない?」

「何、急に」


終業式で学校が早く終わって、一緒にハンバーガーショップでハンバーガーを食べていた。

あたしはセットのポテトを口にくわえたまま、柚子を見た。


向かいに座る柚子は、目をきらめかせて身を乗り出した。


「あたしいいこと思いついたのよ。イケメンに触れて蕁麻疹が出るなら、朝倉と付き合ってみたら?」

「はあ!?」


「彼イケメンだし、一緒にいたら慣れて蕁麻疹なんて出なくなるって」

「柚子、頭大丈夫?付き合ってみたらって言うけど、そもそも朝倉くんがあたしとなんて付き合わないわよ」


そう言った途端、柚子はニヤッと笑った。

あれ、なんか嫌な予感…。

あたし何か失言した?


「そんなの告白してみなきゃわからないでしょ。ねえ、告白してみて、もしもOKもらえたら付き合ってみなよ」

「OKがもらえたらね」


OKがもらえるわけがない。

そんな気持ちで出た言葉だった。