秀樹は絵を見せながら、父親に今日の出来事を興奮しながら話していた。



「これ今日描いてん!」



「上手く描いたなぁ! 秀樹は、ほんま絵の才能あるな!」



「エヘヘ。やったぁ!
コックさんより、絵描きのほうがいいんかなぁ?」



「ん。コックさん……まぁおいおい考えたらいいわ。
ところで、この絵は想像で描いたんか?」



「ちゃうちゃう! 今日な! 見てん! あそこで!」



「なにをや?」



「カッパァや! カッパァ!
この絵の通りや!
ほんまにおったんやな! カッパァ!」



「見たんか、お前も。
そうか……まだ生き残ってたんやな……
そうかそうか……」



「そんなにカッパァは、生きるの大変やったんか?」



「昔はな、今よりもっと自然がいっぱいやってな、河童様もな暮らしやすかったんだろ。

それが時代が変わるごとに、自然が減ってきてな。
おじいちゃんがいた時代は、もっとたくさんの河童様がいたみたいやぞ」



「難しいな。まぁ俺がカエル捕まえて、カッパァにあげるから、大丈夫!」



「そうかそうか」



「おー! メッチャ一杯捕まえんねん! 明日も!」



秀樹はニコニコしながら、部屋に戻って行った。



「そうか……あれからも河童様まだいてたんやな。
よかった……」



政吉は、秀樹の後ろ姿を見ながら呟いていた。