「カッパァがおんねん!
ゆいちゃんも知ってるやろ?
あのガアガアって鳴くカッパァ!」




「…………えっと……カッパァ?
ガアガア……?」



先ほどまで頬を染めていた色は、すっかり元通りに変わっていた。



「そう! カッパァ!
あいつらな、きっと腹へらしとるから、
カエル増やしてんねん!
この池、カエル少なくなってきとると思うねん。
たまにしかカエルの鳴き声を、聞いたことはないしなー……」




「ちょっと……よくわからないんだけどカッパがいるの? この池に?」




「せやねん! って言っても俺もまだ見てないけど……
おとんがな、教えてくれてん」



「カッパがいるって? ここに?」



「そう! 昔な、この山ってカッパァ山って言われてたらしいねん。
あ! そうだ! こっち来て!」



ゆいは、そう話す秀樹の後ろを追っていった。