半ば強引にゆいを誘い、ルンルン気分で二人は例の山に向かう秀樹。



ゆいもまた、カエルの件は極力話題を避けて、秀樹との二人の時間には喜んでいた。



「ここから、山道やねん。俺ここに自転車置いていくわ!」



「どうして?」



「ゆいちゃんは、乗っておき!
俺後ろから押したるから!
坂すごいねん! ここからは!」



片手にカエルのバケツを持ち、片手ではゆいを乗せた自転車を押していた。



武志らといるときには考えられないパワーを出している秀政だった。



「どうぢゃぐ……ハァハァ」



「ちょっと……秀くん大丈夫?」



「だいじょうぶーー」



大丈夫そうでない秀樹を見て、優しく見つめるゆいだった。



二人は木陰で休憩を取ると、秀樹は持っていたバケツを池の中にひっくり返した。


バケツからは、大量のカエルが池の中に落ち、泳いで消えていった。




「ねぇ、その池に何がいるの?」



「んっと。ゆいちゃんやから言うわ!
他には言わないって約束して!」



「分かった! 約束!」



ゆいは、二人の約束が嬉しかった。

そして、頬を少し赤色に染めていたのだ。