カッパァ華

「おい、秀樹。そろそろ花火やりに行く時間だろ?」



政吉が秀樹の部屋に入り、呼び掛けていた。



「あ! そうやった。忘れてたわぁ。
今日花火するんやった!
行こう! 行こう、おとん!」



寝る準備を元に戻すと、秀樹は駆け足で玄関に向かいだす。



そして、二人は水の入ったバケツと、政吉が買ってきたパックに入った花火を持ち出し、玄関先で花火を始めた。



「俺、線香花火が得意やねん!
見て見て! おとん!
ほら、なかなか落ちないやろ!
最後の灯りが!」



「上手いなぁ。秀樹は」



「だろー! おとんもやってみてや!
どっちが長く灯りが持つか、競争な!」



二人は夏の風を感じながら、優しく温かい気持ちになっていた。