カッパァ華

その日の夜、秀樹は父親と【雪男特集】をテレビで見ていた。


「なぁおとん、雪男ってなんで珍しいんや? ただ、雪の降ってるとこにいるゴリラかなんかちゃうんか?」



「ん。まぁそうかもしれんな」



「それか、雪国に住んでるプロレスラーかもしれんやん?
それを珍しいからって言われて、見世物みたいにされたら可哀想やわ……
俺ならそんな見世物みたいにされたら、嫌やわ……」



父親の政吉は、真面目に話す秀樹の言葉を黙って聞いていた。



「そういや、さっき武志のお母さんまた来てたぞ。またお前、武志を泣かしたんか?」



「やっぱりおばちゃん、来てたんか……
あいつが勝手にびびって泣いたんや。
いつものように、俺はなーんもしてへんわ」



「そうか」



「あー、雪男終わった!
来週は【口裂け女】やって!
ただの口がデカイ女ちゃうんかなぁ……」



ぶつぶつそう言いながら秀樹は自分の部屋に入って行った。