「よかった……間に合った……」



ゆいは、その日は学校には行かず、秀樹の見送りに走ってきていたのだ。



「ゆいちゃん! 来てくれたんだ……
でも学校はいいの?」



「今日はいいのっ! 秀くんと会いたかったから!
あ。これ、武志くんと、とおるくんから預かってるよ!
今までありがとうって秀くんに伝えてほしいと、言われてるから!」



「そっか……ありがとう……あいつらも想ってくれてたんやな……」



「みんな、秀くんがいなくなるのは、寂しがってたよ……」



「ゆいちゃん……ありがとう……
嬉しいよ……とても!
俺、大人になったらゆいちゃんにまた会いに来るから!
必ず会いに来るから!」



「約束だよ! 待ってるからね!
わたし……わたしね……
恥ずかしくて言えなかったけど……
秀くんが好き……だよ!
ずっと好きだったよ!」



「ゆいちゃん……
俺もゆいちゃんが好き!
ずっとずっと好きだった!」



離れる間際に気持ちを伝える事が出来た二人は、優しい表情でお互いに手を振っていた。



秀樹は河童がいない寂しさを感じながらも、優しさの涙に変わっていたんだ。



秀樹には、永遠のサヨナラではないひとつの希望が見つかったから。