翌朝も秀樹とゆいは、懸命に河童の無事を信じて探していたが、昼になっても何も見付けることは出来ずにいたのだ。



木々が焼け落ちたあとの山中には、日差しが照りつけ、二人の体力を容赦なく奪ってもいっていた。




「明日から学校始まっちゃうね……」



「やだよ……カッパァ探せなくなる……」



「学校終わればすぐに探しにこよう!
わたしも毎日、一緒に秀くんとこうやって探すから!」



そう、小学校生活の最後の夏が終わりを告げようとしていたのだ。


それは、楽しい想い出もあったが、悲しい出来事のほうが上回ってしまう夏になってしまっていた。



言葉を交わすことの出来ない仲間を見付けた夏。

しかし心で会話をした日々だった。


たくさんの優しさに触れ、しかし心配を抱えたまま終わる夏に、二人の小さな影は淋しく揺れていた。


「明日からもまた、一緒に探そうな!
ゆいちゃん!」




しかし、秀樹のその言葉は実現することは叶わなかったのだ。