河童山から消防車などが退散し、周りには村の住民たちが残り、村の者たちには安堵の表情が浮かんでいた。



「やっと、消えたなぁ。しかしなんでまたこんな場所に火が出たんや」



「消防団から聞いた話じゃ、中に焚き火跡があったらしいぞ」



「焚き火やと? そんなん村の人間がするとは思えんな。よそ者の仕業か?」



「そうかもしれんな。街の人間には困ったもんや……」



そんな会話が鎮火後の村には広まって行っていた。



しかし、秀樹にとってはそんなことはどうでもよく、ただ河童の無事を祈るしかなかった。



そのまま秀樹は一睡もせずに、鎮火した山中へと飛び込むように入って行っていたのだ。



そのあとを追いかけ政吉も水浸しになり、いつもの山とは大きく変化してしまった山中に入って行く事になった。



木々は焼け焦げ、草は無くなり、見渡す限りの広大な焼け野原と、河童山はなってしまっていたのだ。



池の水も消火活動で底が見え、池の全貌がハッキリと見え出している。



そしてその最奥には、祠があるのも確認出来ていた。