みどり荘の住人



「……あんた、今まで一度も料理したこのないの?」


私の手つきをみてか、佑くんはジャガイモの皮を華麗に剥きながら言った。



「……うん」


私は恥ずかしく思いながら正直に答えた。



「……ある意味すげぇな。つーかそれで絹さんもあんたに任せるなんて……」



佑くんははあ、とため息をついた。


……おっしゃる通りです。


私は何も答えずにピーラーを使いこなせるように努力する。



「あんた、いつからここに住んでんの?」


佑くんは三個目のジャガイモに移りながら話題を変えた。



「……一週間前くらい」



私はまだ一個目のジャガイモをピーラーで苦戦している。



「俺が聞くのもアレだけど、親は?」



…………。


佑くん、ストレートだな。


会って間もないのに結構核心をついてきた。



「……い、家出中」



言いたくないけど、光くんと絹さんには言ってるし、聞かれたら嘘はつけない。



「……絹さんも光も、お人好しだな」



佑くんは一瞬言葉に詰まった後、そういった。



……それ、どういう意味?