「疲れたー…
そろそろ帰ろっと」


もしも友志くんに会ってもいいように、汗ケアはかかさない。


シーブリーズをつけ制服に着替えて外に出た。


バスケ部がいつも着替えに使っている体育館裏の倉庫をさりげなく通ってみる。


「今日はいないのかな?」


倉庫には誰もいなかった。


倉庫を通りすぎて歩いていると、前から3人こちらに歩いてきた。


神崎一(しんざき はじめ)と斉藤光希(さいとう こうき)と岩田祐介(いわた ゆうすけ)だ。


3人はバスケ部で私より1つ上の高校3年生だ。


彼らは校内でNo.5に入るモテ男だ。


(別にかっこよくもないのにな…。友志くんのほうがよっぽどかっこいいのに。…っていけない、いけない!またノロケちゃった)


自分の友志くんに対する気持ちに苦笑しながら3人の横を通りすぎる。


ガシッ


(…え?)


新崎さんが私の腕をつかんだ。


「あの…。なにか?」


新「君って陸上部の子だよね」


「はい」


新「ずっと気になってたんだ。陸上部に可愛い子がいるって。」


(いきなり何言ってるの?この人)


新「まぁ、この話は後ででいっか。ねねっ!ちょっと頼み事があるんだけど、倉庫についてきてくれる?」


斉「莉奈ちゃんだっけ?莉奈ちゃんぐらいの細い女子にしか入れないところにバスケのシューズ落としちゃって…」


岩「何も変なことしないから!お願い!ねっ?」


「はぁ…」


(なんかよく分からないけど困ってるみたい。協力してあげようかな)








体育館裏の倉庫に着いた。


新「こっちこっち」


言われたところを探してみる。


「何もありませんよ?」


ガラガラガラ ガシャン


「えっ?」


急いで後ろを振り返る。


倉庫のシャッターがしまっていた。


「どうしたんですか…?」


新「俺、ずっと前から莉奈ちゃんのこと気になってたんだよねー。莉奈ちゃん、俺と付き合って?」


「は?」


新「返事は?」


(返事は?って…。なにこの人。)


「あの、探し物あるって聞いて来たんですけど」


新「そんなの嘘に決まってるじゃーん」


斉「まんまと騙されたね。女の子はもうちょっと用心したほうがいいよ。」


岩「それ言えてるー!ギャハハハ」


下品な笑い声が倉庫に響く。


新「で、返事は?」


(返事もなにも、私が好きなのは友志くんだし…)


「すいません。他に好きな人がいるので。」


新「へー。断るんだー」


何か企みのある顔で私を見てくる。


新「ならしょうがないっか」


3人がこちらへじりじり向かって来る。


(なんなの、この人達…怖い…)


やがて私の背中が倉庫の壁にぶつかり、逃げ場がなくなる。


じりじり迫ってきた新崎さんに体を押さえつけられる。


「なにして…」


次の瞬間、私の唇と新崎さんの唇が重なった。


「…ん。……いや…。やめ…て…。」


口を塞がれ息が苦しい中、頑張って抵抗する。


足と手をじたばたさせると、足は斉藤さんに、手は後ろにまわされ岩田さんに縄でしばられた。


斉「大人しくしておいたほうが身のためだよ」


新崎さんにやっと唇を放してもらえた。


「…はぁっ…はぁっ…」


(私のファーストキス…)


ファーストキスをこんなやつに奪われたと思うと悔しくて涙がでそうになった。


新「そんな顔して。俺を誘ってる?笑」


「違います!はやく放してっ!!」


「たすけ…」


助けを呼ぼうとしたときガムテープで口を塞がれる。


「ん¨ー!ん¨ーーー!!」


斉藤さんと岩田さんに体を押さえつけられ、新崎さんが私の首筋に触る。


ビクッ


新「いい反応だね」


他の2人もニヤニヤしている


新崎さんが私の制服の上着を脱がせた。


ブラウスに手をかける。


(嫌だ!やめて!!!)


縄でしばられた足と手を必死にばたつかせるも、男の人の力にはかなわない。


ブラウスのボタンが1つ1つはずされていく。


新「莉奈ちゃんエロいよ。シャツ着ないでブラだけつけてるなんて。」


岩「すげぇーー」


(最悪、走った後で暑かったからシャツ着ないでブラウス着ちゃった…シャツ着てたらまだ時間稼げるに…!)


新崎さんにブラウスに脱がされ、体の回りががヒヤッと寒くなる。


(このままじゃダメだ!お願い!誰か助けて…)


新崎さんが私のブラに触る。


新「莉奈ちゃん、Bカップ?くびれもあるし、この細いからだには調度いいカップだね。」


私のブラの上から胸を触ってくる。


(いや…!!)


涙をためながら、新崎さんを見る。


新「莉奈ちゃん、知ってる?そんな顔すると男子はそそられるんだよ?」


新崎さんの手がいやらしく腰をつたってブラのホックにいった。


斉藤さんと岩田さんは私を壁に押さえつけながら、じっと私の胸のほうを見ている。


(もう、だめかも…)


抵抗してもかなわないと分かり、少し諦めモードだったとき


ガラガラガラ


倉庫のシャッターの開く音がした。


??「先輩たち、なにしてるんですか?」


そこにいたのは私と同じ学年のバスケ部の男子だった。


(友志くん…?)


その中には友志くんの姿もあった。


(最悪!同じ学年の男子、ましてや友志くんにはこんな姿見られたくない!!)


放してもらおうと必死に抵抗する。


「ん¨ーーー!ん¨ーーーー!!!!」


新「調度いいところにきた」


2年男子A「そいつ、確か石川莉奈でしたっけ?校内でNo.3に入る可愛い子っていうので有名ですよ。」


2年男子B「てかどんな格好させてるんですか!」


みんなの視線がいっきに私の上半身に集まる。


私は恥ずかしくて、泣いている顔を見られたくなくて、下を向いた。


岩「そうそう。お前らも莉奈ちゃんの胸見てみたいだろ?」


2年男子C「見てみたいっす!!」


2年男子D「俺も!」


2年男子E「俺も俺も!!」


2年男子F「変態か!……っていう俺も見たい!」


回りにいる男子たちがどっと笑う。


斉「お前たち手伝え」


2年男子A「了解でーす。なにすればいいっすか?」


他の男子たちが近づいてくるのが足音で分かった。


(友志くんは…?)


顔を少し上げる。


友志くんはシャッターのところから私を見ていた。


(目があった!お願い!助けて…!)


私の近くにいない男子は友志くんだけ。


2年男子B「めちゃくちゃ可愛いっすね!
…てか泣いてるじゃないですか!?先輩たちなにしてるんですかー。俺がそそられるだけですよー」


また男子たちがどっと笑った。


2年男子C「てかすげー。ウエスト細いし胸調度いいし。最高じゃないですか。」


2年男子D「女子の胸生で初めて見た。やわらかそー。」


2年男子E「俺もこんな彼女ほしー!んで、触りまくりてー!」


2年男子F「こいつ猿だ!」


ギャハハハ


新「だーめ!莉奈ちゃんは先に俺が触るの」


2年男子E「ちぇー。分かりましたよ。でもその次俺に触らせて下さいね。」


2年男子A「先輩、スカートは脱がせないんですか?」


新「あ、そうそう。忘れてた。よし、脱がすぞ。」


「ん¨ーーー!」


2年男子B「可愛いー。ちょっと大人しくしててね」


股でスカートを挟み、脱がせないようにするも、男子の力にはかなわなかった。


2年男子C「下着可愛いー。しかもなんかエロい。そそられるー」


2年男子E「足も細いし、、いい体ですね」


斉「おい、はやく脱がすぞ」


新崎さんがまた私のブラに手をのばす。


カチッ


男子たちから「おぉー!はやく・はやく」と歓声がもれる。


私はブラが取れないようにしっかり脇ではさんでいた。


しかし新崎さんが力づくでとろうとする。


(もう限界…もう腕に力が入らない…)


そう思ったとき、


バスケ部の顧問「おーい、お前らそこでなにしてるー?今度の試合のメンバー発表と作戦会議するからちょっと来い」


新「ちぇっ」


バスケ部の顧問「おい、新崎聞こえたぞー。作戦会議は延長で、メンバー発表だけにしてやるから、はやく来い。」


新「はいはい。…ったく。いいところだったのに。」


他の男子たちも「えー」や「お楽しみは後回しか」など、口々に言っている。


(助かった…)


そう思ったのはその時だけだった


新「あ、友志。莉奈ちゃんのこと見張っておいて。続きしないとね。メンバーも俺が代わりに聞いてくっから、いちばん莉奈ちゃんに興味なさそうなお前に頼んだ。逃がしたらどうなるか、分かってるよね…?」


そう言って友志くん以外は体育館に戻っていった。


(どうしよう…縄でしばられて逃げれない…)


恐怖で体が震えた。


一度止まった涙もまた流れ出した。


友志くんが近づいてくる。


(嫌!来ないで!こんな格好見られたくない!)


恥ずかしさと悔しさで顔を下に向けていると


フワッ


友志くんが私のブラウスを肩にかけ、縄をといてくれた。


友「逃げるよ!」


「えっ?」


彼私の手と足を縛っている縄をほどき、
私のブラウス以外の制服、靴下、靴、鞄を持ち、私の手をつかんで走り出した。


倉庫を出ると辺りはすっかり暗くなっている。


倉庫から1・2分したところで友志くんやは立ち止まり、私の手を離した。


2人の間に沈黙が流れる。


「………………あり…がと。」


友「…ん?」


「……ありがと。」


友「うん…」


安心したせいか、体の力が抜け、私はへなへなと座り込んだ。


今までのことを思いだし、私の頬にまた涙がツーと流れる。


(ファーストキスは好きな人としたかった…なんであんな奴と…)


友「ファーストキス、したの?」


「えっ?」


心の中だけで言っているつもりが口にでていた。


「…うん」


「ハハ…好きでもない人にファーストキスとられちゃった…」


(なんで私笑ってるんだろう)


一度泣くのがひどくなると止めたくてももう止まらなかった。


私は嗚咽をあげながら泣いた。


次の瞬間、友志くんに強く抱き締められキスされた。


ほんのつかの間のことだったが、私には長く感じられた。


「ゆっ…ヒック…ゆうし…くん?」


友「…っ!ご、ごめん!」


友志くんは慌てて私から離れた。



友「しょ…消毒!消毒だよ今のは!新崎先輩に汚されたから消毒!」


「ハハハ…なにそれ…」


嗚咽が止まり、私は笑っていた。


(さっきはあんなに怖く震えていたのに、今は何故かホッとする…)


友「石川莉奈だっけ?莉奈ちゃ…石川ごめん。助けてやれなくて。先生呼ぶので精一杯だった。」


「友志くんが呼んでくれたの?」


友「一応」


「ありがとう。本当に助かったよ。」


友志くんが先生を呼んでくれなかったら今頃どうなっていたのか…


考えたくもなかった。


友志くんが私の顔の下を見ている。


友「…っ!」


すると友志くんは顔を赤くし、慌てて顔を横にそらした。


友「石川!早く服着ろ!」


「へ…?」


私は自分の体を見る。


「…ぇ……ええっ!?」


(そうだった…下着だけで走ってきたんだ)


(ほんっとに最悪!恥ずかしすぎて顔をあげれない!!)


まぁ、まだ辺りが暗いだけましか…


私は友志くんからバッと服をとって、すぐに着替えた。


その後友志くんに駅まで送ってもらった。


「申し訳ないからいい」って言ったのに、「危ないから送ってく」の一点張りだった。


駅でLINEを交換しあった。


(今まで友志くんと喋ったことなかったのに…夢みたい)


今日で一番幸せな瞬間だった。