「あの、今日からまた山城にお世話になろうと思って」
「ああ、聞いてるよ、高等部は3階だから、そっちに行ってくれ」
はい、と小さく返事をして私は3階の高等部へ向かった。
まさかまた山城に戻ってくるとは思わなかったなぁ。
中学のときは山城のレベルに追いつこうと一生懸命だったし、友達もいなかったしで戻ることはないかと思ってたけど…
今の高校じゃ、自力で難関大学なんていけるわけないし、仕方ないか。
こんなはずじゃなかったのになぁ…
そう思いながら3階のガラス製の扉を引き開けた。
「あなたが篠崎さん?」
はい、そうです、と私は声をかけられた方へ向かう。
そこには30代前半くらいの女の先生が私を待っていた。
「今日からだよね? 私は金田玲美、一応ここの高等部の室長やってるの、よろしくね」
「あ、篠崎幸菜です。よろしくお願いします」

それから私は高等部のこと、進学のことなどの話やガイダンスを受けた。
高等部は中等部とは違い、集団授業ではなく映像授業だ。
自分が苦手なトピックの映像を選択し、その映像で授業を受ける。
なんだか、眠っちゃいそう…
先生が目の前にいて質問できるわけでもないし、ただ映像みるだけって大丈夫かなぁ…
私はもやもやを抱えながら映像授業に取り組んだ。