月花+ゲッカ+

満開の桜に、暖かい風が心地よく吹く。


今日から高校生なんだって思うとワクワクする!


なんて、少女マンガみたいにうまくはいかないんだよ。


今日は高校の入学式だってのにあいにくの雨。


ベッドから起き上がるのも嫌で、目覚まし時計を止めてまた布団をかぶった。


ポツポツと降る雨の音だけが静かにきこえる。


今日サボろっかなぁ…。


意識が遠のいていく中で、勢いよく階段を駆け上がる足音が二つ。


それが止んだかと思えば、スゴい音をたてて部屋のドアが開いた。


「ちょっと嵐(ラン)!遅刻するでしょ?!」


「まぁお前のことだからサボろうとか考えてたんだろ」


聞き慣れた声に俺は身体を起こしてため息をつく。


産まれた時からずっと一緒で、両隣に住んでる幼なじみの律(リツ)と唯(ユイ)。


律はちっちゃくて、前髪を頭のてっぺんで結んでる食いしん坊な女の子。


唯は俺よりも少し背が高くてネコ毛で、読書が趣味な頼れる奴。


ケンカもよくするけど、こいつらといるときが一番楽しい。


「なんで唯には俺の考えがわかるわけ?」


「何年来の付き合いだと思ってんだよ」