「でーた。自称女子の人間ぢゃないやつぅ!」



「…は?笑」




嘲笑うかのような綾美。



「てっかさーっ。
猿って呼ぶなって言ったぢゃーん」



「覚えてないねー」



「そっかそっかー。さすがだねー」



「なんだよ」



「んー?自分で考えればー?
その少ない脳みそでさぁ!ぃやひゃひゃ」



魔女のような汚い笑い方で綾美を馬鹿にする変態男子。



結構やばい空気かも。



「は?ふざけんな」



「ふざけてないよー。僕はいつも真剣」



「その態度がふざけてるってんだよ!!!」



ドンッ!



綾美が地団駄を踏んだ。



「じゃあなに。お前はいつでも真剣に正しいことしてると思ってるわけ」




「あぁ、猿よりはな!」



「だからぁ」



再び猿と呼ばれた変態男子は。
綾美の目の前までゆっくり歩き。


ドンッ



綾美を押し倒した。



「猿って呼ぶなよ。まこっちって呼べって」



あぁ…。



変態男子の名前は。



猿山 まこと。



猿と呼ばれるのはバカにされたようで嫌だからと、まこっちって呼んでね、と言っていた。



「僕ねー。猿って呼ばれるのは人生で一番嫌いなことなんだー。今度呼んだら、綾ちゃんの人生で一番嫌いなことするからねー」



自らが押し倒した女を冷たい目で見下ろす変態男子の目は。



光とどこか似ている気がした。