声のした方を振り返ってハッとする。

ここは廊下で、今は昼休みだった。



あたしたちの周りにはたくさんのギャラリーがいて。

ギャラリーの先頭、あたしのすぐ後ろに。
声の主はいた。



「なぁ、葵こと馬鹿にすんのやめてくれへんかなぁ」


困ったような。
苛立ったような。


泣きそうな顔で。

訴えるように光は言った。



「光くん!会いたかった!」



またしても急変した綾美の態度。


そして口にするなり光の元へ走った。



しかし。

光は綾美をよけてあたしの隣に来た。



「ひ、光…」


「性格ブスは嫌い。葵、相手にすんなよ。こんなクズ」



光…?

怒ってる…?



「は…?」



あたし以上に綾美が驚いている。


そりゃそうだ。
いきなりこんなこと言われたら誰だって驚く。


「いくらなんでも言いすぎ…」



あたしが光を止めるけど、光にはそんなこと関係なかったみたい。



「葵の方が言われとったやろ。
俺はそれが許せん」