晩ご飯を少しだけ食べて部屋に戻っても、やっぱり気になるものは気になって。
気を紛らわそうとお風呂に入っても何にも変わらなくて。
あたしは無意識に。



優輝さんに電話をかけた。



『はい?』



軽いトーンですぐに出た優輝さん。



「あ、いきなりすいません」



出ると思ってなかったというか。
無意識だったから優輝さんの声が聞こえてびっくりしているあたしは、ただの馬鹿だ。



『なに?』



「あの、光ってお金持ちなんですか?」



『光が言ってたの?』



「あ、いや」



『なんだ、勝手な推測?』



なーんか優輝さんって冷たいんだよね。
温かさを求めてるわけじゃないけど。



「…まぁ」



『そう思わせた要因は?』



「あ、入学試験で首席だったんですけど、実力じゃないって」



『やっぱりね』



「あの〜それで…」



『光はその先何も言わなかったんでしょ?』



「…はい」



『じゃあ待ってなよ』



「気になっちゃって」



『さすがに家庭のことをペラペラ喋るようなやつじゃないからさ』



「そ、そうですよね。…でも…」



『チッしつこ…。じゃあこれだけ教えてあげるよ』



小声で。
舌打ちと一言。



「…」



『光は父親の言いなりになりたくなくて家を出た』



「えっ…」



『それだけ。後は光から聞いてよ。じゃ』



なんだかものすごく。
嫌われてる感じがした。
教えてもらってそれはないだろって自分でも思うけど。
やっぱり冷たい。



それにしても…。言いなりって。