17時40分



「お待たせしました」




ほぼ棒読みで。




野菜炒めを光たちのいる小さなテーブルに運んだ。




「ほんまごめんな、ありがとう」



「うん、どういたしまして。
食器洗って帰るね」



「あ、ええよ、そのままで」



「でも…」



「家政婦みたいなことさせたない」



「あ…そう…。分かった、じゃあ帰るね」




「ん」



「え!?帰ってまうん?」




「え…はい…帰ります」




光とあたしが話している間も、他の子と喋り続けていたくせに、ちゃんと聞いていたらしい。




「えー?しゃべろうよ」


「なに?光と2人きりが良かったん?
そうならそうと言ってくれれば帰るんに」




「あ、あの、そういうんじゃないですから…」




「葵ちゃんて何歳?」




あたしが困っていると、光のことを光ちゃんと呼ぶ、光の同級生にしては老けている大人な男があたしに聞いてきた。




「えと…今年で18…ですけど」




「高3?」




「はい」




「同い年や」




「え?」




「ここにおるんは光の同級生ばっかやないで」




「あ、そうなんですか」




通りで…。




「俺、優輝よろしく」




あたしと同い年だと言う男は優輝。





「俺、弘樹ー。光とタメ」




あぁ、今日誕生日の人。




「あゆむだよー。平仮名ねー。光の1個上」



チャラ…。
ピアス何個付いてんの…。


耳と口と鼻に付いてて金と黒が混ざった髪の毛…。


やだな…。




「俺ねー、健二。葵ちゃんとタメ」




なんか中途半端な人…。




髪の毛ボサボサでグチャグチャだし…。
服装もだらしない…。



顔も普通。



でもなんかやっぱり中途半端。





「俺今20歳なんだ。
酒井って読んで。
今年で21歳ね」




3つ上か…。



ちょっとヒゲが生えてるけど、不潔感はなくて。


髪も長めだけど、似合ってる。



光には負けるけどなかなかかっこいいかも。



「…中野葵です。よろしくお願いします…」




「待てよ」









パッと声のする方を見ると、ボーイッシュな女の子が凄まじい形相であたしを見ていた。




「なめすぎだろ。
男にしか興味ねーのかよ、呆れた」




「おい、明美」


「いじけんなって」



酒井さんと弘樹さんが突っ込んだが、無視だ。




「ふざけんなよてめぇ」




「…はい?」




「お前、この世で一番嫌いなタイプだ」




「…は?」




終始あたしを睨む明美と呼ばれた子は、あたしのことが大嫌いらしい。




「明美、なんもされとらんやろ」




光が口を開いた。




「見てるだけで腹が立つんだよ!」



それに対してまた更に怒る明美さん。



「…じゃあなんで来たん。葵がいること知っとったろ」



段々光の声色に怒りの色が帯びる。



「光が気に入った女がどんなのか見に来ただけだよ」



汚い口調で挑発的に話す明美さん。



「明美の意思で来たんなら、葵に文句言える立場やないやろ」



それでもまだ冷静に、明美さんを諭すように話している光。



「光が選んだ女なら認めてもいいって思ったけど、ガッカリだよ!」


せっかく優しく接してくれていたのに。



まったく引く気もなく。


光に向かって怒鳴った。



「なんやねん。昔っからそうやけど」



怒りを通り越したように笑って言う光。




なに?なんなの?まったく理解できないんだけど…?




「大体、こっちに来てほんの2日で女連れ込むとか、さすがチャラいやつは違うな」




「ちょっ…」




「ええよ、葵。
ごめん、帰り」


光のことを悪く言われて、嫌だった。



だから言い返そうとしたのに。



光に止められた。



光とあたしと明美さん以外はうつむいていて、知らん顔だった。



だけど、光が帰れと言ったとき。


弘樹さんが素早く数回頷いたのが見えた。


「うん…」


それは多分、警告だと思ったから。



素直に頷いた。



「おい待てよ」




ドスッ




そしてそそくさと帰ろうとすると。