ピーンポーン
ピーンポーン
ドドドドッ
ピーンポーン
本っ当に迷惑だと思う。
だけどそれを承知でドアを叩く。
ガチャ…
「なになになになに」
中から出て来たのは優輝さんではなく。
えっと、
「誰でしたっけ?」
中途半端な感じの…えっと…。
「健二だけど」
ムッとした健二はあたしを軽く睨んだ。
でもそれは全然怖くなくて、動物でいう甘噛みみたいな感じだった。
これまた中途半端。
「あぁ、そうそう。健二さんね」
「どーせ他の人も覚えてないんでしょ」
見透かされた。
こんな中途半端な人に。
「…えへへ」
「可愛くない!やめた方がいいよ、今の、気持ち悪い!」
…!?
「なんですって!?」
「可愛くない!てゆうか!何の用?」
聞き返したのはあたしだけど、もう一度言われるとその分またショック。
そして話の切り替え早っ。
「柳葉って誰!?」
別に自分のことを可愛いとは思っていないけど、可愛くないと言われた恨みも込めて語尾を強めて叫ぶように聞いた。
「え?俺だけど」
え?俺?
「健二さん同い年でしたっけ?」
「最初に言ったじゃーん。てゆうか、さん付けやめてよ。健二でいいよ!」
「そうだっけ?影薄いから忘れちゃったよ。
はいはい健二ね。
あなた、あたしのお母さんに嘘付いたでしょ!」
テキトーに流して本題へ。
「嘘?」
「光が事故起こした、って!」
「あぁ!それか!うん、嘘!」
なんてサラッと…。
「まず言うことがあるでしょ!?」
「えーっと?
嘘だよ!じゃないの?」
こいつは馬鹿か。
謝れ。
一瞬とてつもなく心配したんだから。
「違うでしょ!」
「えー?分かんないよ!」
「嘘をついて申し訳ありませんでしたって言いなさいよ!」
「そういうこと?
だってさー、光がテキトーに嘘ついといてって言うからー」
光が?
だとしても…。
「それならそれでもっとましなの言えないの!?
本気で心配したんだから!」
「てゆうかなんで分かったの?」
「交通事故起こしたら誰かしらなんか知ってるはずだし、無断欠席なんてあり得ない!」
「あー、ホントに頭いいんだね!回転はやーい!」
本当に同い年なの?
すごく馬鹿っぽい。
「とにかく、本当のこと教えてよ」
「なんで?」
なんで?って?本気で馬鹿なの?え?


