ー…時東風也(ときとう ふうや)。


テストでは常に主席をキープの成績優秀、スポーツ万能、品行方正、加えて顔よし性格良しで先生からの人望も厚く、女の子たちからもモッテモテの男。


私も、一年生のときから今までの間に、女の子からの告白を受けているところを何回も見ている。


てなわけで。毎回席替えでは時東風也の隣の席争奪戦が繰り広げられるわけですよ。


そりゃ田中先生もめんどくさくなるわけだよね。


だって席替えのたんびに言い合いになって、なかなか決まんないし。


「席替えは公平にくじで決めるぞー」


先生は教壇の上にどんっと正方形の箱をおいた。


あの中からくじをひくんだろう。


一斉に女子たちから非難の嵐が殺到した。


「えー!?先生なんでー?話し合いでいいじゃんかー」


「だってお前ら、話し合いしても結論がきまんねーじゃねぇか」


ごもっともです。先生。


私は心の中で相づちを打った。


時東風也はっきり言って私の苦手なタイプだ。


だっていっつもにこにこにこにこしてて、頼まれたことだって断んなくて。


別にそれはいいことなんだろうけどさ?


自分の意思は?って感じ。

ていうか作り笑顔に見える。うさんくさいし。


私はちらりと田中先生から視線を外し、時東風也に移した。


私は窓際の一番後ろ。


時東風也は廊下側の一番前の席。


うん、近くなる確率は少ないよね!


だってこんだけ席あるんだから、離れる確率だってあるはずー…