「うっげ」

そのジュースは、とてつもなくまずかった。ほのかな苦味と口に広がる酸味の刺激。後味はかすかに甘い。今までに体験したことのない味だ。

思わず口に出してしまった。

「あれ?口に合わない?そんなはずないんだけどな。」

緑の不気味な生物も同じようにドリンクを飲み始めた。

目を細めて口をにっと横に伸ばして一言

デリシャス

と頷く。
どうやらこれが笑顔らしい。

水が無性に飲みたかったが我慢して、口の中のドリンクの風味が消えるのを待った。

「ここは、どこ?」

強烈な後味はなかなか消えなかった。

フィロンは頭上のお皿を撫でた。

「ここはゴンゴ共和国。河童の国さ。」

さっぱりわからない。

「天国なんかじゃない。奈留はここに入ってきちやったんだね。たまにいるんだよ、そんな人間が。だから心配しないで大丈夫さ。」

フィロンは頭の上に当然のようにドリンクをかけた。

かなり衝撃的だが今はそれどころではない。

私は死んでない?
じゃあ夢の中の世界?