「あーあ。彼氏ほしいよぉ…」
学校の門を出てすぐ、隣で泣き言を言っているのは、私の友達の中で一番仲のいい(多分)蓮華だ。
「ちょっと!何よ!かっこ多分って。」
「あれ?聞こえてた?」
「聞こえてるわよ!もーいーもんだ!」
「ごめんって(笑)」
「ふんだ、もう沙奈なんてしらないもーん!」
「まぁまぁ、ここにえーチョコありまっせ??」
「………許す」
許すと言った蓮華にうぇーい、と軽く返事をした。いつもこんな風に蓮華とははしゃいでいる。いわゆる馬鹿友って奴?
「ふぇーふぇ、しゃなってしゅきな人いふのー?」
「は?何て行ったの?つか口の中汚ないわ!こっちみんな!」
「ひどーい」
そう言って、一生懸命チョコを飲み込もうとする蓮華が面白くて2人で笑い合った。
「でさぁ、沙奈って好きな人とかいるの??」
何時ものことだが恋バナになるというニヤニヤする蓮華を少しうわぁ、という目で見てからかった後、私は蓮華の質問に素直に答えた。
「えっとね…好きな人ー?この年で居ないわけないでしょっ」
「まーそうね…って、沙奈!好きな人いんの!?」
そう言って私の肩をぐりんぐりんしてくるから私の頭がびゅんびゅんなってる訳で。
「蓮華やめろ馬鹿アホマヌケ!いるよ。てかもう付き合ってまーす(笑)」
「……」
あ、やばいわ。蓮華の魂が口から覗いてるよ。
「…ちょっとアンタ!はよ言いなさいよ!!アンタこそ馬鹿アホマヌケじゃないのよ(笑)」
あ、馬鹿アホマヌケ覚えてらっしゃった(笑)
「うるさい!まー、私と彼氏がどうやって知り合ったか知りたいー?うふふー♡えー、どうしよっかなぁ。」
「いーから早よ話さんかい。」
蓮華に、白い目で見られながら私は彼との出会いを話すことにした。
彼に会ったのは最近のことじゃない。
始めてこの高校に入って、運命のクラス替えの日に私はその人とあった。
「おーい蓮華はやくー」
その日少し遅れて来た蓮華に急ぐように言って早速自分のクラスを探す。
…ドンッ
「わりぃ」
「あ、いえこちらこそ」
痛いわぁ…てかこの人でっか!肘がほっぺたに激突したんですけど(笑)え?私が小さいって?お黙り?(笑)
「えっと…誰ですか?」
「俺?えっと2組の蒼生。えっと……」
なんて言って良いのか分からなかったのかな?えーと私のクラスは…あ、蓮華と同じクラスだ(笑)
「あ、私ですか?(笑)私は1組の安田沙奈です。よろしくね」
「安田さん?こちらこそよろしく!」
ん、と手を出されたのでこちらも手を出して軽く握手をした。…ちょっとまって!この人の手あったかいし、男っぽいし大きいし…手フェチの私にとって最高じゃない?!そんな感じでふぉぉおとか思ってると…
「おい蒼生!もうすぐ予鈴なるぞ?」
「あ、わりっ、そろそろ行くわ!」
「え?あ、ちょっとまって苗字は?」
「蒼生でえーよ!じゃーな」
「え?じゃあ私も沙奈で!」
すぐに走って行っちゃったけど右手を軽く上げてったからわかってくれたのかな??
「って言うのが出会いかなぁ?」
「うーわ、私が居ない間にそんなんやってたのか。この抜け駆けやろぉ」
がっくしと肩を下ろした蓮華をみて、今度蒼生に男の子紹介してもらうか、と言ったら一気に顔を上げて、無邪気な子供みたいな目をしてスキップして行った。
「ちょっとまってよー!」
なんて後は色んな話しながらいつもの分かれ道で蓮華と別れた。
…ふぅ今日も疲れたな。お母さん今日帰り遅いから先お風呂でもはいとっこう。
「んー。まだ七時半か」
私は熱めのお風呂に入るのが好きだ。だから今日もしっかりと温もったため、顔がかなり紅く染まっている(笑)
さてと。髪でも乾かしながらゆっくりしようかな…。
「ん??新着メール3件?誰だろ。」
たまたま近くにあったスマホを手に取るといつもは一件入ってるか入って無いかなのに、今日は珍しく3件も入っている。こう言う時ってさ、みんな!テンション上がるくない?うわぁ!何かうれしい(笑)
早速スマホを開き,中身(LINE)を確認…
蒼生 土日どっちか暇? (2)
蓮華 沙奈ばっか抜けがけしよって…(1)
…蓮華はとりあえず後回しで。
蒼生からだぁ!やっばい,しかもこれデートのお誘いじゃないのぉぉぉ!!
とか,色々考えながらとりあえず蒼生とのトークに既読をつけた。