そう。
紛れもなく
そこに立っていたのは
元彼のコウちゃんだった。
「ヒメ?ごめんね、突然」
心臓がバクバクするくらいの驚きと
久しぶりに聞いた声。
あんなに好きだった事が
嘘みたいに感じるくらい
その無神経に笑う
不快な表情に
嫌気がさした。
「何しに来たの?
帰ってよ。」
冷たくあしらうあたし。
でも声が震える。
「なんでだよ?
戻ってきたんだよ?俺。」
「…………」
「彼女はさ
別れたから。
これからはヒメだけ
大切にするよ。」
何言ってんの?
この人は。
意味がわかんない。
あたしをそんなに
都合のいい女だと
思ってたのかな?
だんだん
怒りと悔しさがこみあげてきた。


