待ちに待った…のか?


花火大会当日。


まだ暗くなっていないにも関わらず、学校は大いに賑わっていた。


提灯が灯りだす。


校庭に並べられたいくつもの屋台。


それらの営業には学校の生徒とこの町の住人とが混ざっていた。




と、ここで一際目立って騒ぐ生徒が一人。


「わたがしでしょ、それから焼きそばにかき氷と、クレープも食べなきゃ!」




凛羽は黒神と騒ぎまくっていた。


すでに手には綿菓子の袋をぶら提げている。


黒神はなかなかくれない凛羽に跳びはねても、手は食べ物を掠めるばかり。


こうゆうことに於いてはけちくさく、ひゅっと黒神の猫パンチを素早く避ける。




「ちょっと君、通行の邪魔なんだけど。」


と、そこに通りかかったのが神代恭弥。


彼は今日、やけに祭に力を入れているのか浴衣着用中。


頭の上には黄色いあの小鳥が乗っていた。




「ぇへ、今日こそ八つ裂きにしたげる。」


凛羽が舌なめずりした。