「ぬぁぁーー。」


気の抜けた間抜けな叫びをあげて、机にうなだれる優芽。




ここは「S」たまり場、温室。




「やめてよ、こっちまで気が抜けるでしょっ。」


怒る愛衣に、いつも通り本を読み続ける結城。


凜羽に凪は、中庭へ運動(戦い…)へ行っていた。




「ひまだぁーっ。」


「勉強でもしたら?」


「やだ。」




それには即答。何もやる気が起きない、そんな季節が訪れていた。




6月、梅雨。


空気がじめじめしていて嫌い。空は暗いし、いいことなんて何もない。


みんなの気持ちは、きっとこの空のように沈んでるはず…。




「そうでもないけど。」


愛衣が反論。


「俺も。」


本を読んでいたはずの結城までもが愛衣に乗っかる。




「雨結構好きだよ。」


微笑みかけてくる愛衣に、優芽はぶすっと頬を膨らませた。




"どこが?"


そう言いたい気分だった。