優芽は答えずにずっと下を向いたままだった。




「名前を付けることには、意味がある。僕はそこまであの鳥のことを想ってない。」


しばらく間を置いてから、また恭弥が言った。


「優芽が名前を付けてやる必要はないんだ。」




鳥に対しての嫉妬なのか優芽に対しての嫉妬なのか…。


不機嫌そうな恭弥の顔。


周りのみんなは気を遣ってか、気まずそうな二人に目を向けることはしなかった。




「うん…」




納得して優芽は、頷いた。




「じゃ僕は帰るよ。優芽と話もできたし。」


恭弥は立ち上がって、身を翻すとさっさと行ってしまった。




「可哀相な小鳥ちゃん…」




優芽はそこには納得できてなくて、そっと指を鳴らしてみた。


うまく音なんて出ないけど…。





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