恭弥はふっと笑って、コップをそっと離す。


優芽はぶすっとした顔で下を向く。




「なんだっていいよ…」


「ふーん。」




恭弥はまるで興味ないといった様子で、特に鳥の事については何も触れようとはしない。




「ねぇ、名前付けようよ。」


「いい。」


「へ?なんで?」




間抜けな声で驚く優芽に、恭弥は「はぁ」とため息をついた。




「じゃあ、なんで名前付けるの?」


「えぇっと…。」




口ごもる優芽に、恭弥は頭の上に乗っている鳥を、手に乗せて飛ばせた。




「そうゆうことだよ…」


「でも…、だって呼べないじゃない。」




優芽はきゅっと下唇を噛んで、俯いた。




「名前を呼んでもらえないのって、すごく悲しいよ…」




消えそうな声でそう言った優芽に、恭弥はそっと名前を呼んだ。




「優芽…?」