「すごーい!」


太陽の光に照らされた中庭は、春風に吹かれる花弁で、桜色に染まっていた。




みんなが勉強に励む間、自分たちは中庭でお花見。


とまぁ少々心が痛む気がするが、気にしてる人は…あんまりいないと思う。




「あったかー。」




一面の芝生に寝っころがってみると、太陽で暖められていてすごくぽかぽかしている。




「花びら付いてる。」


「え?」




起き上がった優芽に結城は言って、前髪にすっと指を通す。


ふぅっと吹かれた花弁は、舞って風に還っていった。




「あ、ありがと。」


優芽は立ち上がって、スカートを翻しみんながシートを敷いているところへ駆けてく。




と、凜羽がこちらへやってくる。


「ゆうくん。」


「何?」




黒神が座っている結城のひざへよじ登る。




「優芽が好き?」


「まぁ、普通に。」




結城は桜が降り注ぐ上の、木を見上げる。




「べつに神代に殺されたくねーし。」